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2019年のマスロックシーンを振り返る

2019年、マスロックとミッドウェストエモをひたすら聴いていました。

CHON、American Football、Chinese Football、Covet、sora tob sakana、Murphy radio、Tide/Editなどが同時に勢力的な活動をしていた2019年はこのジャンルを語る上において重要な交差点のような年だったのではないかと思います。

そんな2019年のマスロック・ミッドウェストの体験をまとめたvlogを作りました。

https://youtu.be/nf3dym7KDoI?si=2zFri-HGy_q9Fcng

American FootballとChinese Footballの邂逅

2019年のマスロック・ミッドウェストシーンを語る上で外せないのがAmerican FootballとChinese Footballという「元祖」と「新興」の交差です。

2019年春、American FootballとChinese Footballの対バンツアーが発表されました。

90年代後半に伝説となった元祖と10年代にアジアのローカルから生まれた新興、この2組が2019年という同じ時間軸で共演を果たしたことはしたことはこのジャンルが世代を超えて受け継がれてきたことの証明でした。

私はこの共演を香港で目撃しましたが、世代も国境も超えたフロアの中で改めて音楽の素晴らしさを実感しました。

  • American Football

1997年にイリノイ州で結成されたミッドウェストエモのレジェンドバンド。

1999年に名盤『American Football』を残し2000年に解散。その後2014年に再結成。

約14年間に及ぶ活動休止期間の間、『American Football』は多くのバンドに多大な影響を与え続けました。

https://www.youtube.com/watch?v=_NfnXdXpjL0

  • Chinese Football

武漢にてAmerican Footballへの強烈なリスペクトを込めて2011年に結成。

2015年に発表したセルフタイトルアルバムは、新しい世代へとミッドウェストエモを周知し、2019年のワールドツアーにおいては遂にAmerican Footballとの共演を果たしました。

2019年におけるその他のバンドの動き

2019年のシーンの面白さは新旧レジェンドの共鳴だけに留まりません。

欧米のテクニカルな潮流から、アジアのローカルシーンに至るまで、それぞれの場所で独自の音楽が鳴らされていました。

  • Covet

ギタリストのYvette Young率いるCovet。
タッピングやオープンチューニングを駆使したギターフレーズは当時のギターキッズ達に大きな衝撃を与えました。また、複雑なテクニックを見せつけるだけでなく、どこまでも有機的なメロディを紡ぎ出すスタイルはインストマスロックの可能性を大きく広げたともいえるでしょう。

https://youtu.be/RXGwVJCdV6A?si=knSFRJ7w0TGG_jJ0

  • by the end of summer

日本のバンドならではの叙情性が疾走するサウンドは熱狂的な支持を集め、Chinese Footballの日本ツアーでは共演が実現しました。
翌年の2020年にはTHE 1975のMatthew Healyが作成した「ロックダウン中に聴くべきプレイリスト」に選出されたことでも話題となりました。

https://youtu.be/SBskUIxssj0?si=xX6EGP6v2YsM78ww

  • sora tob sakana(東京)

変拍子のアンサンブルをポップスのフィールドへ大体に落とし込み、音楽シーンを驚愕させたグループ。都市の無機質さを音楽に反映したかのような先鋭的なサウンドスケープは、マスロックの音楽的カオスを象徴する存在でした。

https://youtu.be/fHBrIzHFff4?si=KwQtmOQ2Dbylu2EQ

  • Murphy Radio(インドネシア)

マスロック的なアプローチを巧みに使いこなしながらも、南国特有の陽気さやダンスミュージック的なグルーヴを同居させたバンド。Murphy Radioを始めとする東南アジア発のマスロックシーンは独自の音楽性となっています。

https://youtu.be/mLsludyIgDc?si=0sPa5jzQbJDg0Vl-

  • Tide/Edit(フィリピン)

きらびやかで美しいツインギターのアルペジオと叙情性をかけ合わせたバンド。ミニマルで疾走感のあるアンサンブルが特徴。
個人的にTide/Editはアートワークのデザインセンスも好きです。

https://youtu.be/RIJWRH9P87I?si=DUwnAT1QO09LHxmy

おわりに

あれから月日が経ち、音楽を取り巻く環境は大きく変化しましたがあの頃のマスロック・ミッドウェストエモが放っていた輝きや熱量は今振り返っても色褪せることはありません。

マスロック・ミッドウェストエモというジャンルはいつの時代も流行り廃りの波とは無縁の音楽で、独自の進化を遂げながら密かに力強く鳴り続けていました。人間が複雑な変拍子に心を奪われ、美しいアルペジオに救われる瞬間がある限り、このシーンは色褪せることはないのだろうと思っています。